再生医療のご案内

自己多血小板血漿(PRP)による療法

患者さん自身の血液から作成されたPRP(血小板が多量に含まれている血漿のこと)を体の痛んでいる部分に注入し、治りにくいものや治るまでに時間を要する怪我や関節炎の治療に用い、患者さん自身が元々持っている修復力をサポートする治療法です。
整形外科では関節炎やスポーツによる怪我の治療に用いられています。日本人スポーツ選手では、大リーグの大谷翔平選手や田中将大選手が肘関節の治療にPRP療法を行ったことが知られています。

何故 効果があるのか?

血小板には”血液を固める働き”と”組織の修復を促す成長因子を出す働き”があります。
日常生活で経験することがあると思いますが、切り傷で出血した後、しばらくすると血が止まり傷口は自然と治ります。また足首をねんざした後、患部が内出血により腫れその後青あざとなり徐々に腫れが消えていきます。この治癒過程に重要な役割を果たしているのが血小板です。血小板の働きにより私たちの体は自己防御力をもち自分の力で治すことができます。この血小板を多量に含んだPRPを傷んでいる部分に注入し修復力を引き出すことが可能な治療がPRP療法です。

当院における対象症例

肉離れ
靱帯損傷
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
TFCC損傷
アキレス腱障害
足底腱膜炎
その他
いずれの疾患も従来の治療への反応性に乏しい方で、かつ医療費も含めたこの治療にご理解があり希望される患者さんに実施をお勧めいたします。

治療の流れ:当日のスケジュール

採血⇒遠心分離(PRP作成)⇒関節外注射
1. 約10ccの血液を採取します
2. 採取した血液を遠心分離機にかけてPRPを抽出します
3. 抽出されたPRP約3ccを患部に注入します
4. 注射後は約15分間、患部にPRPが集中するよう安静にしていただきます

治療回数と評価

当院では、通常1か月の間隔で3回行い、その後3か月後(治療開始から半年後)に除痛効果や日常生活での改善度を評価していきます。残念ながら効果がなかった方でも、その後手術治療を受ける事は可能ですのでご安心下さい。

PRP療法の費用

日本ではまだ保険適用外の治療であり、自由診療です。
当院でのPRP注射一回にかかる費用は 約30,000円(税別)です。
PRPは再生医療の一つですが、先進医療や高額医療補助の対象とはなりません。
注射実施日の痛み止めや湿布の処方もすべて自費となりますのでご注意ください。

メリットとデメリット

患者さん自身の血液を使用する治療のため副作用が少ないことが大きなメリットです。
一方、自由診療のため治療費の負担が大きいこと、また治療効果に個人差がある点がデメリットです。
一般の飲み薬同様、同じ症状でもPRP療法が効く方と、効きにくい方がいることは事実です。

本治療を行うにあたり、第3種再生医療として以下の申請をしています。
厚生労働省(再生医療等提供計画PC7230002)

PRP療法に関心のある方は、整形外科外来を受診してください。
本治療の適応か否かを診断するため、一度は保険診療での通常の受診をしていただきます。